生徒の学習意欲向上につながる効果的な「ほめ方」とは?【後編】

2017年9月28日

前編では、ほめることが生徒さんの学習意欲向上につながること、そして効果的なほめ方について2つのポイントをご紹介しました。

生徒さんをほめるにあたって、より効果的にほめ方をするために、後編では印象に残るほめ方、そしてほめ方に関する注意点についてお届けします。

 

印象に残るほめ方とは

現役の大学生にとって、いまだに印象に残っているほめられた経験の特徴として、

  • ふだん人をほめない先生からほめられた
  • 無自覚のうちに何気なくやっていることをほめられた

という2つが、とある調査で挙げられています。

生徒さんにとって想定外のほめであることが共通点ですね。

1つ目の、人をほめない先生からほめられた、というものは、実践が難しいところですが、2つ目のものは活かしやすいと思います。

先ほどの数学の宿題の例で言うと、

「途中式までしっかり残してあって、間違えた点を見つけやすくなるから見直しがしやすいね」
「字の大きさがきちんとそろっていて、相手にとって読みやすいノートだね」

と、無意識に行っているところをほめられると、ここって自分の良いところだったのかと少し驚き、同時に、もっと工夫してみようかな、と意識的にそこを伸ばそうという気持ちにつながります。

 

ほめ方に関する注意点

もちろん、ほめ方が不適切だった場合、逆効果が生じてしまうこともあります。

1つ目は、生徒の能力をほめた場合です。これは使い方によっては諸刃の剣になるそうです。

例えば「数学の才能があるね」とほめた場合、「自分は才能があるんだ」と自己効力感が高まることもあれば、「せめて数学では失敗してはいけない」と失敗を回避する傾向が高まることもあるとも言われています。

2つ目は、他者と比較してほめた場合です。

「○○さんよりもずっと数学が得意だね」とほめた場合、「○○よりも」という基準に依存してしまい、「○○よりも得意でなくなった」場合の立ち直りが難しくなる、と指摘されています。

 

その生徒さん1人だけに向けたほめ言葉を

これまで、ほめることについてまとめてきましたが、すべてに共通するのは「先生が自分のがんばりをしっかり見て、それを認めてくれていることが伝わるかどうか」だと思います。

他の人に向けられたものではなく、自分のがんばりを根拠にしている、たしかに自分だけに向けられた言葉だとわかると、うれしくなるものです。

その自分のがんばりが、特に自分が気づいていないものであれば、なおさら「見守ってくれているな」という感覚になるものです。

筆者も、大学生の今でも、高校生の時に先生にほめられた嬉しさは覚えています。

先生にはさまざまな業務があり、これ以上生徒さんに向き合う時間をとるのは難しいことだと思います。でも、ちょっとしたほめ言葉が生徒さんにずっと影響を与えることもあります。ぜひその生徒さん1人だけに向けたほめ言葉をかけてあげてください。

生徒さんの自己効力感を高める工夫については、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

「自己効力感」とは?〜自己効力感の低い生徒のために、先生ができること

また、この記事において参考にした文献はこちらからご覧になれます。
 「高校の指導の実態」ベネッセ総合研究所
 「脳科学より褒めの教育効果を考える」定藤規弘
 「教授者のほめ方のスタイルと学習者の年齢が、学習者の達成目標傾向と失敗回避動機に及ぼす影響」三俣貴裕・山口陽弘