いま話題の高大接続改革、その問題点とは?

2018年3月31日

「高大接続改革」が教育関係者の間で話題になっております。先生方も、お聞きになったことがあったり、ご自身で情報収集されている方も多いかと思います。Cast lab.(キャストラボ)編集部でも、以前に高大接続改革の概要に関する記事を書かせていただきました。

徹底調査!いま話題の‟高大接続改革”ってなんだろう?

ただ、高大接続改革については最終決定はなされておらず、今年に入ってからも様々な最新動向が発表されており、なかなか定まらない方向性に不安を抱えている先生方もいらっしゃるかと思います。

この記事では
高大接続改革についてもっと深く理解したい!」
「高大接続改革の最新動向を掴むきっかけが欲しい!」
という先生向けに、高大接続改革の問題点についてまとめました。

この後の記事では、高大接続改革の概要について紹介したあと、高校教育改革の問題点、大学入学共通テストの問題点について紹介しています。

高大接続改革とは

そもそも、「高大接続改革」とは何なのでしょうか?

高大接続改革とは、文部科学省が中心となって推進している教育の大改革で、2020年を皮切りに高校教育・大学入試・大学教育の3つを一気に改革しようという取り組みです。

高校教育改革としては、アクティブラーニングの観点を取り入れた教育の推進や、生徒の多面的な評価の推進などを予定しており、大学入試改革としては、各大学の個別入試の改革とともに、センター試験の後継試験である「大学入学共通テスト」が導入されます。

ただ、この高大接続改革には様々な問題点が存在します。その問題点の多さゆえ、なかなか議論が収束することなく、現在でも詳細について決定していない点が数多く存在します。また、今後改革が実行されたとしても、数年後に見直しが図られて現場に大きな影響が発生する可能性があるため、問題点についてしっかり把握しておく必要があります。

以下では、その問題点の一部をご紹介いたします。

高校教育改革の問題点

高校教育改革としては、アクティブラーニングの観点を取り入れた教育の推進など様々な項目が挙げられていますが、その目玉の一つが「高校生のための学びの基礎診断」という学力テストの実施です。高校生のための学びの基礎診断の目的は「義務教育段階の学習内容を含めた高校生に求められる基礎学力の確実な習得」と「それによる高校生の学習意欲の喚起」であり、内容は、国が示した一定の要件に沿って民間で開発された試験を用い、高校生の基礎的な学力の定着度合いを確認し、受検者の学習成果や課題について確認できる結果提供を行うというものです。

しかし、このテストには「位置付けが曖昧」という問題点が存在します。そもそもこのテストは、「高校と大学の学びをスムーズに接続する(≒高大接続)」、つまり、高校生のうちに身に着けるべき学力が確実に身に着いていることをこのテストにより保証し、大学での学びをスムーズに開始させることを目的として作られたものでした。したがって、当初は大学入試の合否判定に用いられることが想定されていました。しかし、国の中で話し合いが進む中で「高大接続」という観点は次第に意識されなくなり、最終的には大学入試に使用しないという結論に至りました。

したがって、現状では各予備校が行う模擬試験との違いも曖昧で、模擬試験と比較してどういったメリットが存在するのかが未だに不明瞭です。

「基礎診断」については、今なお国の間で話し合いが続いており、今後の動向に注視する必要があります。

大学入学共通テストの問題点

大学入学共通テストの大きな柱としては、「記述式試験の実施」と「英語の民間試験導入」が挙げられます。

記述式試験の問題点

記述式試験については、2020年から国語と数学において記述式試験が導入されることが決定しています。とりわけ、国語では「条件付記述式」という試験が導入されることになっています。条件付記述式試験とは、設問に記載された一定の条件に従って答案を記述する問題で、二次試験などで見られる記述問題より解答の自由度が低いものになっています。

全国的な試験で記述式試験が導入されるということは非常に画期的である一方、その内容については問題点も指摘されています。たとえば、思考力や表現力を十分に評価することが出来ないのではないかという点です。昨年実施された大学入学共通テストプレテストで出題された国語の記述問題は、答えとなる語句を資料から読み取って、それを資料から書き写すことを求めるという傾向が強い問題でした。したがって、深い思考力、十分な表現力を要求される問題ではない、という見方をすることもできます。

英語試験の問題点

英語試験については、大学入学共通テストの英語試験+民間の4技能試験(読む、聞く、書く、話す)のスコアの合算で評価が可能になります。とりわけ、国立大学については多くの大学で民間試験の導入が決定しています。どの民間英語試験が導入されるかは現在審議中であり、ケンブリッジ英検やTEAP、TOEFLなどから応募がありました。民間試験については、1つだけではなく、複数の試験が採用されることが予定されています。この民間試験の導入についても、様々な問題点が指摘されています。

例を1つ挙げると、民間英語試験が大学受験生の学力を測定するのにふさわしくないのではないかというものを挙げることが出来ます。たとえば、応募のあった民間試験であるTOEICはビジネス英語の能力を測定する趣旨で実施されているものであり、TOEFLについても大学受験レベルを超える独特な語彙が用いられるなどしています。したがって、高校で指導すべき英語の内容と、これらの民間試験で必要とされる英語の能力に大きなズレが生じてしまっています。そのため、民間試験で良いスコアを取ることが出来るか否かは、これらの民間試験の指導に長けた者が周囲に存在するか、対策講座を開講する塾に投資することが出来るかに左右されてしまうなどの弊害が懸念されています。

上記で挙げたものを筆頭に、大学入学共通テストについては数多くの問題点が指摘されていますが、昨年11月に大学入学共通テストのプレテストが実施されました。問題は公開されているので、興味のある方は是非ご覧になってください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では、高大接続改革の問題点として

  • 「高校生のための学びの基礎診断」の位置づけが曖昧であること
  • 「大学入学共通テスト」の記述問題が、十分に受験生の能力を測ることの出来る問題でないこと
  • 「大学入学共通テスト」における、英語4技能評価に民間試験を用いるのは適切でないこと

を紹介しました。

高大接続改革では、この記事で紹介したものにとどまらない数多くの問題点が指摘されています。こうした問題点を踏まえ、文部科学省内では今なお高大接続改革の方向性につき話し合いが進められていますし、ひとたび実施されてからも、数年後にその見直しを行うことが予定されています。

今後も高大接続改革の最新動向については紹介していきたいと考えていますし、この記事が高大接続改革に関して考える一つのきっかけになったならば幸いです。

ぜひ、これからもCast lab.の記事を参考にしてみてください!

参考文献

文部科学省「高校生のための学びの基礎診断」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1393878.htm
文部科学省「高大接続改革」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/index.htm

 


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