「自己効力感」とは?〜自己効力感の低い生徒のために、先生ができること

2018年3月31日

生徒の自己効力感を高める方法

「どうせ自分には無理」
「やっぱり自分はダメだ」
「きっと失敗するから、挑戦したくない」

先生方のまわりに、こういった言葉を口にする生徒さんはいらっしゃいませんか?

こうした考え方をする生徒さんは、「自分にはできそうだ」と思える気持ち=自己効力感が低いといえます。
先生としては、なんとかして自信をもたせたい、自己効力感を高めて前向きになってほしいと思うところ。しかし、どのようにしていいのか悩んでしまうこともあるのではないかと思います。

そこで今回は、この自己効力感について、

  • 自己効力感とは何か
  • 自己効力感を高めることのメリット
  • どうすれば自己効力感を高めることができるのか

などを中心にご紹介していきたいと思います。生徒さんの自己効力感を高めてあげるために、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「自己効力感」とは?

自己効力感とは、英語でself-efficacyといい、カナダ人心理学者アルバート・バンデューラが提唱したもの。ある状況下に置かれたときに、自分は適切な行動をして対処ができるという確信のことを指します。

簡単に言ってしまうと、「なんかよくわからないけど、自分ならできそうだ」という気持ちのことです。

自己効力感が高い人は、

  • 自分ならできる!と考える
  • チャレンジ精神が旺盛
  • 根拠のない自信を持てる
  • 失敗しても立ち直りが早い

といった傾向があり、自己効力感が高いゆえに積極的に行動することで、次のような正のサイクルを回すことができます。

中学生・高校生の自己効力感を高めるには

つまり、自己効力感が高ければ、

  • 根拠のない自信を武器に、いろいろなことにチャレンジできる
  • 様々な経験を通してたくさんのことを学べる

というわけです。

 

自己効力感を高める4つの要素

自己効力感が高ければ、否が応でも人生が豊かになりそうですよね。
しかし、この自己効力感はどのようにしたら高めることができるのでしょうか。

バンデューラは、次の4つによって自己効力感が高まると述べています。

  1. 達成経験(成功体験)
  2. 代理経験
  3. 言語的説得(社会的説得)
  4. 生理的情緒的高揚

それぞれ、詳しく見てみましょう。

①達成経験(成功体験)

生徒の自己効力感を高める方法

その人自身がなにかしらの成功体験をする、という最もシンプルな方法です。

成功体験といっても、「早起きができた!」といった小さなことから、「受験に合格した!」という大きなことまで様々。一般的に、達成に困難が伴えば伴うほど、自己効力感が高まる大きな要素となります。

②代理体験

これは、自分自身ではなく誰か別の人がある行動に成功する様子を観察することで、自分もできそうだと感じるという体験です。

代理の対象となるのは、兄弟や友人といった身近な人はもちろん、小説やドラマなどのキャラクターも含まれます。映画を観ていて、困難を乗り越えてなにかを達成した登場人物に励まされた、という経験のある方も多いのではないでしょうか。

③言語的説得(社会的説得)

生徒の自己効力感を高める方法

これもある意味シンプルな方法で、「あなたには能力がある」「あなたならできる」と、言葉で伝えられることです。一般的に、利害関係のない人や自分の尊敬する人から言われるほどに高い効果が得られると言われています。

④生理的情緒的高揚

薬やお酒、その他の様々な要因により高揚しているときにも、自己効力感は高まると言われています。しかし一方で、持続性という部分では弱いという指摘もあります。

 

生徒さんの自己効力感を高めるために、先生ができること

こうした要素を踏まえた上で、生徒さんの自己効力感を高めるために先生はなにができるのでしょうか?

ここでは、先生が取り組めることや、先生が生徒さんにおすすめできる方法をご紹介します。

 

生徒さんに小さな成功体験を積ませる

生徒の自己効力感を高める方法

やはりいちばん重視したいのは、生徒さん自身が成功体験を積むことによって自己効力感が高まること。しかし、いきなり大きな目標を掲げても、自己効力感の低い生徒さんは「自分にはどうせ無理」とはじめからあきらめてしまうでしょう。

そこでおすすめしたいのが、小さな成功体験を豊富に積んでもらうこと。どんなに小さな目標でも、「達成した」という事実が生徒さんの自信に結びついていきます。

たとえば英語の苦手な生徒さんには、「まず10単語を確実に覚えてみる」ということを掲げてみます。そしてそれが達成されたら、次は15単語、そして30単語…というように増やしていく。そうすることによって、一段一段階段を上るように、自己効力感を高めていくことができるのではないでしょうか。

東大や早大をはじめ、難関大学に入る大学生でさえ、かつては自己効力感が低く自分に自信のない高校生だったという人もたくさんいます。そういった学生も、たとえばテストで少しずつ点数を上げたり、ちょっとずつ勉強時間を伸ばしたりといったことで自己効力感を高め、高い目標を達成できるまでに至ったのです。

先生自身が目標を達成する姿を見せる

生徒の自己効力感を高める方法

先ほどの「代理体験」につながる話ですが、先生自身がなんらかの目標を設定してそれに向かって努力し、そして達成する姿を見せるという方法です。

生徒さんにとって、先生は最も身近な大人の一人。そんな先生が、自分で目標を掲げ、それを達成しようと努力する姿はきっと心を打つ光景でしょう。さらに、その目標を達成したときには、「先生もがんばっているんだから、自分もがんばれるかも」と思う一歩となるはずです。

先生が掲げる目標は、高尚なものでなくてもかまいません。むしろ、笑ってしまうようなくだらない目標のほうが、生徒さんは親しみを持って見つめることができるかもしれません。

  • 毎日ジョギングする
  • 毎週1冊教育書を読む
  • 卵を崩さずに目玉焼きを作れるようになる

など、なんでも良いと思います。ぜひ、毎日のSHRなどで生徒さんに報告してあげてください。生徒さん一人ひとりがきっと励まされることでしょう。

「あなたはできる」と励ましの言葉をかける

生徒の自己効力感を高める方法

すでに実践されている先生も多いかと思いますが、先ほどの「言語的説得(社会的説得)」につながる言葉による励ましの方法です。

ピグマリオン効果(別名・教師対効果)をご存知でしょうか。「人は期待された通りに成果を出す」という傾向のことで、1964年にアメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが行った実験に基づくものです。

先生からの励ましが、生徒さんにとって自己効力感を高める一助となることは間違いありません。また、生徒さんに声をかける際には、

  • 本人が気づいていない魅力や能力を褒める
  • 生徒さん全体にではなく、その生徒さんに対して期待しているということを伝える
  • 生徒さんの努力と自律性を褒める

といったことが効果的です。

生徒さんの意欲を高める「褒め方」については、別記事「生徒の学習意欲向上につながる効果的な「ほめ方」とは?【前編】」および「生徒の学習意欲向上につながる効果的な「ほめ方」とは?【後編】」で詳しく解説しています。こちらも併せてご参考にしてください。

さらに、実際に先生から繰り返し励ましの言葉をもらったことで、自己効力感を高めて学力をアップさせたキャストの話を掲載した記事もこちらにありますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

保護者面談の体験談~私の原動力になった先生の言葉~

 

私たちができること

生徒の自己効力感を高める方法

「生徒さんの自己効力感を高める」というのは、じつは私たちトモノカイの持つ中高生向けプログラムの源泉にもなっています。

私たちは、進路を考える上でも、日常生活を送る上でも、中高生のみなさん一人ひとりが高いモチベーションを持って生きていくことが非常に大切だと考えています。なぜなら、先ほど述べたように、モチベーションが高く自己効力感の高い人は、様々なことに前向きにチャレンジすることができ、豊かな人生経験を積むことができるからです。

自己効力感を高めるために必要なのは、「自分には無理」という知らず識らずのブレーキを取っ払ってしまうこと。でも、それをするのにはなかなか時間がかかってしまいます。

そこで私たちが作り上げたのが、

  • 中高生に、「大学」についての気づきを。
    −−大学体感プログラム
  • 「成果が上がる」×「自分に合った」勉強法を。
    −−My勉強法”発見”プログラム
  • 「目標」には、自分を変える力がある。
    −−進路発見プログラム

という3つのプログラム。中でも、たった2時間のプログラムで「自分には無限の可能性がある」と知っていただけるプログラムが、3番目の「進路発見プログラム」です。

このプログラムでは、グループで行うゲームを通して、自分には自分で思っていた以上の能力があったのだということに気づき、進路への前向きな気持ちを醸成することができます。詳しくは下の記事でご紹介していますので、ぜひ一度ご覧になっていただければと思います。

【進路発見プログラムのご紹介】やる前にあきらめてしまう生徒さんへ