徹底調査!いま話題の‟高大接続改革”ってなんだろう?

2018年1月26日

いま話題の「高大接続改革」。近年よく聞く教育ワードとして、先生方の関心の一つなのではないでしょうか?Cast lab.(キャストラボ)編集部でもこの高大接続改革に注目し、最新の情報を調査しています。

しかし、高大接続と言われてもいまいちぴんと来ないという方も多いかもしれません。そこでここでは、

「高大接続改革ってそもそも何が変わるの?」
「高大接続改革に関する文部科学省の資料を全部読むのは大変…」

という先生に向けて、これだけは知っておきたい高大接続改革の基礎知識をまとめてみました。

この後の記事では、高大接続改革の背景や目的、改革内容、今後のスケジュールをご紹介していきます。

1.そもそも高大接続改革って?

そもそも、高大接続改革とはどんな背景・目的で行われるのでしょうか?

1-1.高大接続改革の背景

高大接続改革が行われる理由は、今後生徒たちが活躍していく社会の変化にあります。

今教育を受けている子供たちの大半は、現在存在していない職業に就く、と言われています。
確かに、毎年のように新しいスマートフォンやアプリがリリースされていることからも、世の中がかなりのスピードを持って進化していることを感じますよね。

また、現在の世界には様々な課題が上がっています。
少子高齢化やグローバル化、地方創生、持続可能な開発…先進国から途上国、政治家から研究者・ビジネスマンまで、様々な人がそれぞれの立場で議論していますが、ご存知の通り、答えは出ていません。

これからの生徒たちは、このように未来が読めない世界で、「答えのない課題」と向き合い、活躍していかなければなりません。

そのための力を生徒たちに身につけてもらう教育を行うために行われるのが「高大接続改革」なのです。

1-2.求められる学力

高大接続改革

では、具体的にはどのような学力を身につければこれからの社会で活躍する人材になれるのでしょうか?

文部科学省は高大接続改革に合わせて新しい教育目標として、学力の3要素を掲げています。

◆学力の3要素(文部科学省)

  1. 十分な知識・技能
  2. それらを基盤として答えが一つに定まらない問題に自ら解を見出していく思考力・判断力・表現力
  3. これらの下になる主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度

この学力の3要素から感じられることは、知識を学ぶだけではなく、知識を使って考え、自ら学ぶことが求められているということです。

これまでの高校教育では、知識を問う大学入試に向けて、「知識を学ぶ」ことは充実しています。
しかし、後者二つの学力を意識的に身につけさせることはほとんどないと言えます。

では、どのように学力の3要素を身につける教育を行っていくのでしょうか?

 

2.制度・枠組みはどう変わるの?

高大接続改革において、制度はどのように変わるのでしょうか?

 

2-1.文部科学省が行う3つの改革

高大接続改革で変わる制度・枠組みを簡単に言ってしまうと、

学力の三要素を基盤に、生徒一人一人に主体性や個性を尊重するように、学びの結果ではなくプロセスを評価するように、「高等学校教育」「大学教育」「大学入試」の三つを改革していく

ということになります。

高大接続改革
文部科学省「高大接続改革の最新の動向」より

高校教育の改革

高校教育では、これまでの受け身の教育ではなく、自ら進んで課題を発見・解決する主体的な学習を充実させていきます。いわゆるアクティブラーニングです。
何を学ぶか、ではなくどのように学ぶかが重視され、教育改革が行われます。

具体的には、学習指導要領の改訂による教科・科目の見直し、学習指導方法の改善によるアクティブラーニングの導入、多面的な学力評価を行うための「高等学校基礎学力テスト(仮)」の実施が検討されています。

高大接続改革

大学教育の改革

高校と社会をつなぐ大学では、社会にでていくのに十分な「学力の三要素」を持つ生徒を卒業までに育てる必要があります。そこでこの高大接続改革に伴い、全ての大学で「3つのポリシー」の見直しが進められています。

この3つのポリシーとは、

  • 「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)」
  • 「教育課程実施・編成の方針(カリキュラムポリシー)」
  • 「入学者受け入れの方針(アドミッションポリシー)」

のことです。

3つのポリシーは、平成29年の4月から各大学に公表が義務付けられています。特に入学者受け入れの方針は今後受験する高校生にも関わってくるところ、志望校のポリシーは確認したいところです。

大学入試の改革

高大接続改革

大学入試が変わることで、そこに向けて勉強する高校生たちはこれまでと違った勉強をしなければなりません。必然的に高校での学びは変わっていくことになります。大学入試の改革は高大接続改革の中でも重要な改革なのです。

具体的には平成32年(平成33年度入学者対象)に、センター試験が廃止され、「大学入学共通テスト」という「思考力・判断力・表現力」を評価するテストを導入します。

このテストはこれまでのセンター試験のようなマーク問題に加え、記述式の問題も追加されます。
さらに英語は「読む」「書く」「聞く」に加え「話す」の4技能を評価するため、外部の認定試験を活用することが検討されています。

 

2-2.高大接続改革のスケジュール

では、これらの改革はいつから行われるのでしょうか?

結論から言えば、もう始まっています。

高大接続改革
文部科学省「高大接続改革の動向について」(平成29年1月現在)

具体的に高校の学習指導要領が改訂され、新指導要領が実施されるのは平成34年度(2021年度)からだそうです。もう新元号ですね。それまでに、教員の研修が高校教育の改革に見合ったものに変更されていくようです。

先生に最初に影響するのは平成32年(2019年)から始まる、大学入学共通テストの実施でしょう。
今後のプレテストの実施によりその内容は定まり、具体的な内容が見えてくるはずです。
今後、Cast lab.編集部でもこの情報を追いかけていきたいと思います。

 

3.先生に求められる教育とは?

これまで制度・枠組みの改革を見てきましたが、こうしたなかで先生はどのように生徒を教え導けばいいのでしょうか?

もし地球が東から西に自転していたとしたら、世界は現状とどのように異なっていたと考えられるか、いくつかの観点から考察せよ
-2014年度東京大学理科一類「外国学校卒業生特別選考」より

上記の問題を見て、どう思われますか?正解は一つではないですよね。
学校で答えを教えていない問いですが、学校で学ぶ知識から考えて答えを書ける問いです。

これがまさしく高大接続改革で育てたい生徒の学力で、今後このような問題が大学入試で増えていくとされています。
先生は生徒に、覚えた知識を使って答えのない問題を考えることを教えていくことになります。

今後の記事では、高大接続改革に伴い発表されている話題の書籍などを紹介していきます。
ぜひ、今後の教育改革に向けた授業設計などの参考にしてください。

 

4.まとめ

高大接続改革

いかがでしたでしょうか?この記事では、

  • 高大接続改革は今後の変化していく社会で活躍する人材を育てるために行われていること
  • 高大接続改革には「高校教育の改革」「大学教育の改革」「大学入試の改革」の3つの改革があること
  • 3つの改革がすでに進行中であること

をご紹介しました。

今後も「自分で高大接続について調べるのは大変…」という先生に代わって、教育の動向や話題になっている議論などの記事を書いていきます。

ぜひ、これからもCast lab.の記事をご参考にしてください!

参考文献

文部科学省「高大接続システム改革会議『最終報告』
文部科学省「高大接続改革の動向について
文部科学省「大学入学共通テスト実施方針
石川一郎著「2020年からの教師問題」

 


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