いまさら聞けない、ICT教育って?〜ICTの意味から活用例まで全解説!

2018年2月6日

「ICT」や「ICT教育」という今流行りの言葉。当たり前のように使う人も多いですし、今更「ICTってどういう意味?」なんて聞きづらいですよね。

そこで今回は、

  • 「ICTってよく聞くけど結局何のことかわからない…」
  • 「ICTが何かはわかるけど、どうやって授業に取り入れたらいいの?」

などと思っていらっしゃる先生のために、「そもそもICTってなに?」というところから「教室や学校の中でICT技術をどうやって生かしていけるのか」というところまでまとめていきたいと思います。

1章ではICT教育とはそもそもどんなものであるかの説明を、
2章ではICT教育がどのように役に立つものなのかを、
具体例を交えながらご紹介します。

新しい技術を取り入れて、さらに魅力的な授業を作る際の一助となれば幸いです。

1.そもそもICT教育って?

ICT教育

1-1.ICTとは

ICTという言葉、あまり耳慣れないという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし実はICTというのは、ITとほぼ同じ意味なのです[1]
つまりは、情報やその通信・伝達に関わる技術のこと。よりわかりやすくなると思うので、具体例をみてみましょう。

身近なところでICTを用いた機器といえば、

  • パソコン
  • スマートフォン
  • テレビ

などのことです。さらに最近では、

  • IoT機器(パソコンやスマホだけじゃなくて、家の中のありとあらゆるものをインターネットにつなげてしまおう!という考え方です。例えばスマホで開けられる玄関の鍵、などが話題になりましたね)
  • VR技術
  • 3Dプリンター

といった技術も目につくようになってきました。 こうしたICT技術を用いると数多くのメリットがあり、様々なところで活用されています。例えば、

  • より簡単に情報にアクセスできる
  • より直感的に物事を調べたり見ることができるようになる
  • 対面していない人とも「対話」することができるようになる

といったことが挙げられます。

ICT教育
最近、VR技術が流行っていますね。これもICTの1つです。

 

1-2.ICT教育とは

このICT技術を教育に生かすというのが、「ICT教育」という考え方です。つまり、今まで教えていた内容はそのままに、ICT技術を導入することで授業がよりよく変わる、という考えです。

「ICT教育は本当に役に立つか」を2章で、「具体的にはどのような授業になるのか」という疑問には3章でおこたえしていきます。

 

 2. ICT教育って、良いものなの?

ここまでで、「ICT教育がなにか」という部分はおわかりいただけたかと思います。そうすると次に気になるのは、「ICT教育は良いものなのか?」というところでしょう。

そこで次に、実際ICT教育を行った事例も交えながらその効果や特徴について見ていきたいと思います。

 

2-1.ICT教育って本当に効果があるの? [1]

百聞は一見にしかず、まずこのグラフをご覧ください。

ICT教育
ICTを活用した授業と活用しなかった授業の違い

これを見ると、授業でICT を活用した場合、いずれの教科でも生徒の成績が上がったということがわかります。同調査で実際に授業を行った先生の98%が「『関心・意欲・態度』の観点において効果を認めていた」そうで、ICT技術を活用することで生徒が積極的に、集中して、楽しく学びに取り組めるようになると言えます。

では、これはなぜなのでしょうか?それを知るために、ICT教育の特徴をもう少し掘り下げて見ましょう。

 

2-2.ICT教育にはどんな特徴があるの? [2]

ICTを用いた教育には、大きく分けて3つの特徴があるとされています。

◆ICT教育の3つの特徴

  • Active:学びの活性化
  • Adaptive:学びの最適化
  • Assistive:学びの支援

1つずつ順番に見ていきましょう。

 

ICT教育_3つの特徴
ICTを用いた教育の3つの特徴

 

Active:学びの活性化

ICT技術を使えば、より手早く簡単に物事を調べる・まとめる・整理することができ、またそれを周りの人と共有して発表し合うことができるようになります。

あるいは、紙の教科書の代わりにタブレットなどのICT機器を教材とすれば、写真だけでなく動画を提示したり、図を動かしたり、わからない単語をその場で調べたりするなど 、より一人一人の生徒が主体的に学ぶことができるようになります。

この特徴から、ICT教育は、今流行りの「アクティブラーニング」ととても相性が良いことがわかります。

具体的には、ICTを用いると、

  • 自分の考えたこととクラスメートの考えていることを、画面上で比較対照しながらディスカッションをする
  • 一定のテンプレートに沿って早くプレゼンテーションを組み立てる

といったことが可能です。このように、慣れないと時間がかかってしまうアクティブラーニングの一つ一つのステップを手助けして効率を高め、学びをより深めることができます。

 

Adaptive:学びの最適化 [3]

ICT技術を使うと、一人一人の生徒の学力や理解度をより細かくはかることができ、さらにそれを用いて最適化された、つまり一人一人の生徒に合わせた学びを提供することができます。

たとえば、「授業中に生徒がどこでつまずいているかわかれば…」「生徒は授業の予復習をどれだけしているのだろうか」と一度は思われたことがあると思います。この悩みも、実はICTで解決できてしまいます!九州大学の研究を少し詳しく見てみましょう。

生徒にタブレットやノートPCを配布し、そこで教科書を見られるようにします。
そこで、一人一人がどのタイミングでページをめくったかを記録します。こうすることで「どのページを読むのに時間がかかったか」「どのページを遡ってなんども読んだか」ということが生徒ごとにわかるのです。

先生方は授業中に「今、誰が、どこでつまずいているのか」ということがリアルタイムでわかるので、よりきめ細やかな授業をすることができるようになります。

 

Assistive:学びの支援

ICT技術を使うと、従来では十分な教育を届けられなかった生徒にも、手を差し伸べることができます。たとえば、クラスに同学年の生徒が1人しかいない離島の学校でも、テレビ会議システムを使えば同学年の生徒たちと交流でき、ディスカッションしながら学ぶことができるようになります。

そして実は、ICT技術は生徒だけでなく先生のことも「支援」します。例えば提出物をオンラインで提出するようにすれば提出チェックの手間が省けたり、特に選択問題は採点を自動化できます。ICT技術はこのように業務の効率化を図ることで、先生方の負担軽減にも一役買ってくれるのです。

 

3.どうやってICT教育を取り入れたらいいの?

ICT教育

3-1.基本的な考え方 [3]

教育においてICT は、目的ではなく手段として存在します。つまり、従来の授業と内容を変えるわけではなく、ICTを利用することで授業をより効果的に行うことができるということです。したがって、授業の内容そのものはこれまでと同じものを使えます。

そうは言っても、「授業の中でICTを利用する」ことは初めて考えると全く想像がつかないのではないでしょうか?

そこで、授業の中でのICTを利用した例を2つ紹介します。

 

3-2.他の人はどうやってるの?

事例1:生徒一人一人がタブレット端末を使い尽くす。

三重県松阪市のとある中学校では、生徒1人1人にタブレットが配布され、特にアクティブラーニングでその威力を発揮しています。

ディスカッションやプレゼンテーションを行う際には、下記画像のようにiPadを用いることで、従来より手早く直感的に進めることが可能になります。それにより、ディスカッションやプレゼンテーションの内容そのものにより集中することができるのです。

この結果もあって、この中学校では全国学力・学習状況調査のB問題(知識の活用・応用力が問われる)に向上がみられるなど、ICT導入の成果が目に見えて現れているようです。まさにActiveな学びが実現されているのですね。

ICT教育_松坂の事例
生徒1人1人にタブレットが配布され、特にアクティブラーニングでその威力を発揮しています

 

事例2:オンラインの算数ドリルで、一人一人のペースに合わせる。

福生市の小学校では、オンラインの算数ドリルが導入されました。全ての児童が皆同じ問題を解く一般的な算数ドリルとは異なり、その問題を間違えた児童にはつまずいている部分を解消するための問題を表示したり、問題に正解できた児童には「よくできました!」というメッセージとともにチャレンジ問題を表示したり、と一人一人に合わせた問題が表示されます。この算数ドリルの導入によって、特に成績階層の児童に顕著な学力向上がみられたと言います。

ICT教育_福生の事例
福生市の小学校では、オンラインの算数ドリルが導入されました。
ICT教育_福生の事例
先生の側からは、生徒の学習の進行状況を一眼で確認することができます。

また、先生の側では、それぞれの児童が「どの問題で正解した・間違えたか」「どれくらいの時間自宅学習をしたか」という情報が一覧で確認できるようになっています。これを使用した先生からは「宿題配布や採点にかかる労力が軽減できた」という声があり、省力化につながったそうです。

あるいは、「家庭学習での取組状況を簡単に把握できるようになり、ほめる機会が増えた」という、さらに質の高い指導も可能になったようです。 まさにAssistiveなICT技術ですね。

 

本来はもっとたくさんの例をお届けしたいのですが、スペースの関係上2つだけご紹介させていただきました。しかしこの2つをみても、ICT教育には様々な例があることがわかりますよね。

 

4.まとめ

ICTを用いた教育についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

◆ICT教育のポイント

  • ICTというのはITとほぼ同義であり、昨今急成長しているため教育での活用が期待されている。
  • ICT教育にはActive / Adaptive / Assistiveという3つの特徴があり、生徒さんの学力の向上につながるというデータもある。また、先生の負担軽減にも一役買う。
  • すでにICT教育を導入されている学校では、それぞれ効果が上がっている。様々なパターンの導入例があるため、自校の特徴にあった導入例が見つかると良い。

前述のようにICTは手段にすぎないので、先生方お一人お一人の素晴らしい授業が、ICTの導入で、よりよく生徒さんに届くことを切に願っています。

 


[1] (実はこの言葉の違い、省庁の縦割りと関係があるという話があります。ITという言葉を使っているのは経済産業省、ICTは総務省なので、経産省の「縄張り」ではIT、総務省の「縄張り」ではICTという言葉が使われている、という裏事情もあったりします)

文部科学省, “「教育の情報化に関する手引き」検討案,” 29 1 2009. [オンライン]. Available: http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/056/shiryo/attach/1249668.htm. [アクセス日: 6 1 2018].

[2] 総務省, 教育ICTガイドブックver.1, 2017. [オンライン]. Available:http://www.soumu.go.jp/main_content/000492552.pdf. [アクセス日: 6 1 2018].

[3] 緒広成考. 京島敬文. 政健太郎, “教育ビッグデータの利活用に向けた学習ログの蓄積と分析,” 教育システム情報学会誌, 第 巻2, 第 33, pp. 58-66, 2016.