学部学科ってどうやって選ぶの?~とある理系大学生の例をふまえて~

2018年3月31日

進路選択と一口に言っても、その選択肢と分岐点は山ほどあります。例えば高校卒業後進学するか就職するか、大学に行くのか専門学校などに行くのか――そしてとりわけ、大学進学する生徒にとって学部学科の選択は、大学選びと同様か、それ以上に悩ましいものであります。

今回は東大理系の私が、高校生の時や大学2年生の時どのように学部選択をしたか、振り返っていきます。

「一人の理系学生がどういう考えに基づいて学部学科を選んだか知りたい」
「東大の学部学科選択についてよく知りたい」
「生徒が抱える学部学科選びの悩みにもっと寄り添った助言がしたい」
という方にぜひ読んでいただきたい次第です。

大学の学部学科は多種多様!

大学のホームページを見ると、学部学科の一覧、紹介がなされています。いくつかの大学を軽く眺めるだけでも、その数に驚いてしまいますね。
これは私の見解ですが、近年、学問の深化、細分化が進んでおり、それに伴って多種多様な学部学科が生まれているのではないかと考えております。

細かく見ていくと、学部は異なるけれど似たような名前の学科があります。
例えば、農学部には「生命化学・工学専修」という学科がありますが、工学部には「化学生命工学科」という学科があります。非常に紛らわしいですね。
理系東大生の中にも違いがよくわからない人が大勢いるくらいですから、学外の人で違いを説明できる人がいたら相当マニアックな人と言えるでしょう。

では何が違うかを一言で申しますと、その学問をするモチベーションだと考えています。

ホームページを見るに、生命化学・工学専修は「心と生活を豊かにするための、生命現象を利用した技術を実現すべく、化学や生物学、工学を活かして生命の仕組みを明らかにしていく」とあります。
また化学生命工学科の研究理念は「有機化学と生命工学を融合し、生物を手本にした化学反応や従来にはない高機能蛋白の創造」とあります。
どちらも広く科学を学ぶようですが、要するに前者は「生命現象の解明」に重きを置き、後者は「新しい物質や機能の創造」に重きがあると考えられます。

このように深くホームページを読み込んでいけば違いがなんとなく見つけられますが、いちいち調べていてはきりがありませんし、時間もありません。もちろん進路選択したときの私もそこまで深く勉強して決めたわけではありません。

ではどのように決めたのか、次章で紹介いたします。

私の進路選択

まず高校での文理選択ですが、私の高校では、当時文系クラスの理科が生物一択でした。物理や化学を勉強したかった私は、理系のクラスを選びました。
また父がモノづくりで楽しそうに仕事をしていたので、自分も工学部でモノづくりを学びたいと、なんとなく考えていました。
高校の授業でもっとも関心が高かったのは化学で、有機化合物が独特の香りをもつことや、高分子が様々な機能を持って我々の生活を支えている点に特に興味を持ちました。このころから、大学では化学の勉強をしたいと考えるようになりました。
また、いくつかの大学のオープンキャンパスに参加し、工学部と理学部の雰囲気やモチベーションの違いを自分なりに理解して、工学をやりたいと思いました。

こうして、「大学では工学部で化学を勉強したい」という方向性が固まりました。

東京大学を受験しようとしていた自分は、高校で担任の先生と当時の成績をもとに相談を重ねたうえで、工学部、化学系学科に進学する人が最も多いという、理科一類で出願することにしました。

入学後は広く一般教養を学んでおりましたが、生命科学の講義で生命活動の複雑さとダイナミクスに惹かれ、「工学部で化学と生命科学をより深く学びたい」と気持ちが変わりました。

そして後期課程進学にあたり、学科を自分で調べたり先輩に聞いたりして、この気持ちを叶えられる工学部の化学生命工学科に進学しました。

まとめますと、高校生の時はオープンキャンパスで学部の雰囲気をおおまかにつかめましたし、大学生になってからは様々な講義を受けて興味を広げつつ、行きたい学科を調べて選ぶことができたと考えています。

これまでの選択に悔いはないけれど…

こうして私の場合は、高校生の時の「工学部で化学をする」という意思を貫きましたが、それでも学部学科選びの際はどうしても慎重になり、不安になるものでした。それは、進学してみないと分からない内情も多く存在するからです。

例えば、科類選択によってその先の進学先にはどれほど制約があるのか、先に挙げた似た名前の学科ではやっていることの何が違うのか、といった細かいことは調べてもそう簡単に出てきません。
しかし、進学した先輩方はある程度の知識を持っています。実際私は大学体感プログラムのキャストとして、学部学科に関する疑問を聞き、自分の知っている範囲で説明することが多々あります。

そして自分も早いうち、つまり高校生の間から学部学科の相談ができたらより安心して進路選択に臨めたのではないかと思ったのです。

直接大学生に相談できる機会がなかったとしても、高校生や先生方の学部学科への悩み・関心を、大学に通うその高校のOB等に伝え、答えてもらったり、解説してもらったりしてもらうといったシステムがあればよいのではないか、と考えました。

こうして大学に通う学生の、生の情報が高校生や先生方の進路教育を豊かにしていく仕組みが浸透していけばよいなと思ったのです。

まとめと少々ご提案

ここまでの内容を簡潔にまとめますと、

  • 近年、大学の学部学科はますます多種多様になっており、学科名だけで「何を勉強するのか」を把握するのは難しい
  • オープンキャンパスなどを利用して高校生のうちから学部学科について情報を得ることはできる。
  • 実際大学に通っている大学生から話を聞いたり情報を得たりする機会があれば、高校生のうちから学部学科のイメージを深められ、より明確なビジョンや目標が描けるようになるだろう

一個人の私見が多分に含まれた体験談となってしまいましたが、なにかしらの形で、高校の進路教育に貢献出来たら幸いです。


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