大学に入ってからも進路選択はできる?~大学生の転部体験談~
一人ひとり違った悩みを持つ、進路選択。
自分の勉強したい学問から選ぶ人、就職のことまで考えて決める人、学部を絞らずに、行きたい大学を決めて努力する人など様々だと思います。
しかし、自分に完璧に合っているのはここだという学部があり、合格でき、思い描いていたような大学生活を送っているような人はそう多くないと感じます。
私自身も、第一志望であった早稲田大学の政治経済学部に現役で合格することができず、法学部から転部試験を経て進学するという経験をしてきました。
そこで今回は、このような選択肢の存在を知っていただきたいという思いもこめて、あまり例のない法学部から政治経済学部へと転部した私の体験談をご紹介します。
転部試験とは?
そもそも転部試験という言葉を初めて耳にする方も多いのではないでしょうか。転部試験は全ての大学学部で行われているものではありませんが、大学入学後に、同学内で学びたい学部へ挑戦する最後の機会として設けられている制度です。
今回は早稲田大学を例に少しご紹介していきます。早稲田大学では、1年終了時に政治経済学部、法学部、文学部、文化構想学部、2年終了時に商学部への転部試験などが設けられています。
私が挑戦した政治経済学部の転部試験は、大学一年の終了時に行われました。政治経済学部に入学した場合必修科目として受講する政治学科目2科目、経済学科目2科目、TOEFL‐IBTの合算、面接試験を経て合否が決まります。合格した場合、晴れて二年生から政治経済学部で学ぶことができます。万が一不合格の場合でも、元の所属学部に残ることができます。毎年10~20人弱が挑戦し、平均で2割程度の合格率となっているような試験です。
私の進路選択~高校時代から転部後まで~
高校時代
始めに、一番大切な高校最後の一年間を私がどのように考え、決断してきたかをご紹介します。私は小さいころから野球を続け、高校時代も軟式野球部に所属していました。毎日朝練と放課後練があり、帰ったら疲れ果てて寝てしまうような毎日でした。高校3年の夏まで、平日は多い日でも勉強時間が1時間でした。そのため、家ではしっかり休むかわりに、とにかく授業中に、復習の必要がなくなるくらい理解しきることを目標に取り組みました。
夏休みになり、私は各大学のオープンキャンパスに参加しました。早稲田大学に行ったとき、私は政治経済学部の授業が行われる立派な3号館の建物に魅了されました。また、政治経済学部の教授が行ってくれた体験授業があまりに楽しく、気がついた時には早稲田の政経に行きたい!と思うようになっていました。そして、高校の学校祭が終わった10月から、本格的に勉強を開始しました。
本格的に勉強を開始してから4か月が経過し、受験本番を迎えました。しかし、私は政治経済学部の合格をもらうことができませんでした。どうしても行きたいとはいえ、浪人してしまうと家計に迷惑をかけてしまう、あるいはもう1年勉強しても合格できるとは限らないと感じていました。そこで私は進学を決断しました。頂いた選択肢の中から、得意な語学力を活かすことのできる東京外国語大学か、早稲田大学の法学部で悩みました。この時に私は転部試験の存在を知り、もし1年たってもどうしても行きたいと思った時に可能性を残すため、早稲田大学の法学部に進学することを決断しました。
大学に進学して
法学部に入学して最初の一年間。私は多くの必修科目を必死で勉強しました。週6コマの語学の授業と2時限連続の法律科目など、お尻が痛くなるほど座りっぱなしの授業が続きました。もともと法学の勉強に大きな興味があったわけではなかったので、分厚い教科書に戸惑いながらも友人と放課後も残って復習を続けました。
同時に、政治経済学部の必修科目の教科書を買い、友人にレジュメを借りながら、政治経済学部の必修科目も独学で勉強を重ねました。転部試験の出題範囲になるからです。教科書だけでは頭に入りきらなかったため、秋学期には教授に直談判をして聴講許可をもらい、最前列で授業を受けたりもしていました。こんなにも自分から積極的に動き、そして勉強したことは後にも先にもありませんでした。そして3月、ついに転部試験本番の時を迎え、最後のチャンスをつかむことができました。
転部後の苦労
転部をして政治経済学部の2年生になった私に、すぐにバラ色の毎日が待っているというわけではありませんでした。転部先では特に2点に苦労しました。
1点目は、2年生から入ることで友人を作りにくかったことです。一般的に、1年生の頃に語学などで知り合った友人同士で授業を受ける人が多いため、最初は少しだけ寂しい思いをしました。
2点目は、転部した最初の1年間で、2年分の必修科目を履修し、遅れを取り戻す必要があったことです。いくら独学で勉強をしていたとはいえ、進級するためには一単位も落としてはいけないという状況に、少しだけプレッシャーを感じました。
しかし、そんな状況でも、全くめげることはありませんでした。何よりも政治経済学部で受ける授業が楽しかったからです。法学部での一年間があったからからこそ、苦労を経てやりたいことを勉強できる喜び、そして楽しいと感じる授業を受けられる喜びははるかに大きいものになりました。
現在はマクロ経済学を専攻しながら、オープンキャンパスの時に面白い!と感じた教授のゼミに所属しています。順調に進むことができれば、法学部1年間、政治経済学部3年間の計4年間で卒業することができる状況におかれています。
まとめ
ここまで私の体験談とともにお伝えしてきましたがいかがだったでしょうか。大学ではいろいろなバックグラウンドを持った学生たちが同じ教室で学んでいます。一般入試で来た人、系属校から進学して来た人、留学生、などなど。転部試験は少し特殊な例ではありますが、こんな制度もあるんだ!と知っていただけるきっかけになればと思います。
そして、どうしても行きたい学部に行けなかった…などという生徒さんがいる時に、お話の種になったら嬉しいなと思います。
参考文献
早稲田大学政治経済学部HP内転部試験情報
https://www.waseda.jp/fpse/pse/assets/uploads/2017/07/97e284bda5cc62199615ce50dcfb3223.pdf
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